キンモクセイの生垣

生垣(読み方はいけがき)とは、庭や敷地の境界を示すために植えられる植物の垣根のことです。
これは、目隠しなどでプライバシーを保護し、風を遮ると同時に、庭の美観を高めるために使われます。
生垣は、様々な種類の植物で構成されることがあり、選択は気候、土壌、維持の容易さ、および望ましい外観によって異なります。
適切な植物を選び、適切なケアをすることで、年間を通じて美しい景観を楽しむことができます。
ここではおすすめな生垣の種類と手間のかけやすさなどのアドバイスを、専門家の視点から解説していきます。

同じ垣根でも竹垣については下記をご覧ください

竹垣の魅力と選び方:初心者ガイド

庭の目隠しとしての竹垣を植木屋である筆者が実例集を写真で紹介しています。
種類も豊富ですので垣根づくりでお困りなら一度ご相談ください  


生垣のメリット

  1. プライバシー保護: 生垣は、外部からの視線を遮り、プライベートな空間を作り出します。密度が高い植物を選ぶことで、外部からの視線を遮断することができます。
  2. 景観の美化: 生垣は自然の美しさを加え、庭や外観の雰囲気を向上させます。四季折々の変化を楽しむことができる植物を選ぶことで、年間を通して美しい景観を保つことができます。
  3. 環境の改善: 生垣は空気の浄化、ホコリや花粉のフィルタリングに役立ちます。また、鳥や昆虫などの生物多様性を促進し、自然環境を豊かにします。
  4. 防音効果: 生垣は、交通音や近隣の騒音を減らすのに効果的です。密度が高く、高さのある植物を選ぶことで、より高い防音効果を得ることができます。

管理された生垣は、庭を豊かで活気のある場所に変えることができます。

生垣のデメリット

  1. 維持管理の手間: 生垣は定期的な剪定や手入れが必要で、維持管理に手間と時間がかかります。放置すると、見栄えが悪くなるだけでなく、害虫の発生源にもなりかねません。
  2. 病害虫: 生垣は病気や害虫の影響を受けやすいことがあります。特に密集して植えられた場合、病害の拡散が早くなることがあります。
  3. 水やりの必要性: 特に乾燥する季節や植栽直後は、生垣に十分な水分を供給する必要があります。水やりが不十分だと、植物の成長が悪くなるだけでなく、枯れる原因にもなります。
  4. 選択の難しさ: 生垣に適した植物の選択は、立地条件、土壌の種類、気候など多くの要因を考慮する必要があります。不適切な選択は、生垣の成長や維持に影響を与える可能性があります。

生垣の設計

植物の成長する高さや幅、色、形状などを考慮する必要があります。
適切な管理と剪定により、生垣は長期にわたって健康で美しい状態を保つことができます。
また、小鳥や昆虫などの生物の生息地としても機能し、自然環境との調和を図ることができます。

生垣の設置

まず植える位置を決定し、適切な間隔で植物を植えます。
必要に応じて土壌も改良します。
植物が成長し始めたら、定期的に水やりと剪定を行い、形を整えます。剪定は生垣の密度と形状を維持するために重要です。
剪定は、生垣の種類によって適切な時期が異なります。
また、病気や害虫の予防も生垣の健康を保つ上で不可欠です。

生垣に適している庭木の種類


一般的に生垣に選ばれる植物は、耐寒性や常緑性があります。例えば、サザンカ、キンモクセイ、トキワマンサクなどが挙げられます。
これらは密に生え、剪定により望む形に成形できます。四季を通じて緑を保つため、年間を通して美しい外観を維持できます。
生垣の植物種類として人気がありおすすめできるのは、ベニカナメモチ、レッドロビン、ツツジ類、マキ、マサキ、ヒイラギモクセイやキンモクセイ、カシノキ、ウバメガシ、トキワマンサクやプリペットなどです。
これらは、刈り込みに強く、密な葉を持ち、整えやすい特徴があります。
また、四季を通じて緑が楽しめる常緑樹が多く選ばれますが、季節ごとに色が変わる落葉樹を使うことで、年間を通じて変化する景観を楽しむこともできます。

ツル物ではテイカカズラやスイカズラ、モッコウバラなどをフェンスなどに絡ませて使っているのを見かけます。
目隠しをあまり気にしなければ落葉樹でもよいかと思います。

ドウダンツツジの生垣などは秋には紅葉でとても綺麗です。
ボックスウッドやサザンカの生垣もよく見かけますが虫に食べられやすい様です。

生垣の場合、行政によって助成金なども出る所がありますのでご確認下さい。
樹木によっては目隠しなどに向き不向きがありますので植木屋さんにご相談ください。

生垣の種類と実例集

生垣で使われている樹木の種類と実例集です。
参考に出来ればと思います。

レッドロビンの生垣

生垣
練馬区 レッドロビンの生垣

レッドロビン(常緑樹)を四ツ目垣で挟み込んだ生垣です。
景観も非常にきれいですが、挟み込みの生垣は近年少なくなってきております。
レッドロビンは、新芽が鮮やかな赤色を呈することで知られる常緑樹です。
この新芽は春に特に美しく、成長するにつれて緑色に変わります。
この鮮やかな葉色の変化が、庭園や生垣で人気の理由の一つとなっています。

生垣としての利用では、レッドロビンの密な枝葉がプライバシー保護や防風効果を提供します。
また、刈り込みにも比較的強く、定期的な剪定によって形を整えることができ、美しい生垣を維持することが可能です。
ただし、適切な剪定が行われないと、内部が徒長して枝葉が密集しすぎることがあるため注意が必要です。
レッドロビンの生垣は、その美しい葉色の変化で季節感を感じさせ、住宅の周辺や公園などでよく見られます。
適切な管理を行うことで、長期にわたってその美しさを維持できるでしょう。
近年は環境の影響かゴマ斑点病など病気が多く出るようになってきているようです。

キンモクセイの生垣

キンモクセイの生垣
杉並区・キンモクセイの生垣


キンモクセイを用いた生垣は、その美しい花と芳香で知られ、秋の季節に庭を彩る魅力的な選択肢です。
キンモクセイは、日本では秋に特有の香り高いオレンジ色の小花を咲かせ秋の庭に華やかなアクセントに
なることで人気があります。
キンモクセイは成長が遅いですが萌芽力があり生垣など目隠しに適しています。
また、小鳥や昆虫などの生態系にも貢献する植物であり、自然との調和を図りながら、独特の雰囲気を庭にもたらします。
病害虫には強いですがハムシなどにはやられる姿を見かけます。

東京都練馬区/キンモクセイ生垣

ベニバナトキワマンサクの生垣

生垣
さいたま市 トキワマンサク生垣

こちらはベニバナトキワマンサク(常緑樹)の生垣です。
中国原産の常緑低木で、春先に鮮や紅色の花を咲かせ、その美しい花が特徴です。
葉は濃い緑色または赤褐色をしており、一年を通じて色鮮やかです。
生垣として使用する場合、ベニバナトキワマンサクは刈り込みにも強いですが
比較的成長が早く、管理には注意が必要です。
病害虫には強く生垣に向いている樹木です。
こちらも洋風の建物にもよく合います。

東京都杉並区/ベニカナメ生垣

モッコウバラの生垣

モッコウバラ生垣
品川区 モッコウバラ生垣

モッコウバラの生垣。モッコウバラは、春に豊富な花を咲かせるつる性のバラです。
小さな花が密集して咲き、主に白や黄色の花が一般的です。

この植物は生垣として使うと、その美しい花で目を引きます。特に春の花の季節には壮観な景色を楽しむことができます。
モッコウバラは成長が早く、広がりやすいため、生垣としては早くから密度を増すことができます。

植え付ける際は、日当たりの良い場所を選びます。土壌は水はけが良く、やや湿り気のあるものが適しています。
定期的に剪定を行うことで、生垣としての形を整え、健康な成長を促すことができます。

モッコウバラの生垣は、その美しい花と旺盛な成長力で、住宅の周囲や公園、庭園などでよく用いられます。
ただし、成長が早いため、管理には注意が必要です。
適切な剪定と手入れにより、春の美しい花を毎年楽しむことができます。

東京都品川区/モッコウバラ生垣

マキの生垣

マキの生垣
練馬区/マキの生垣

マキの生垣。

マキは、日本原産の常緑針葉樹で、緑豊かな葉を持ち、生垣に適した植物です。
この植物の特徴は、細長い葉が密集しており、一年中緑色を保つことです。
そのため、プライバシーの保護や、緑の美しさを求める場合によく使われます。
また、マキは成長速度が比較的遅いため、手入れがしやすいという利点があります。

生垣として利用する際には、日当たりの良い場所を選びますが、半日陰でも育ちます。
定期的な剪定により、生垣の形を整えることができ、美しい外観を維持します。

住宅の周囲や庭園でよく用いられるマキの生垣は、その落ち着いた緑色と手入れのしやすさから、
長年にわたって人気があります。
近年はアオドウガネに食べられます。

ヒイラギモクセイ生垣

ヒイラギモクセイ
杉並区 ヒイラギモクセイ生垣・強剪定後

ヒイラギモクセイの生垣。

日本をはじめとした東アジア原産の常緑樹です。特徴的なのはその葉で、若い枝には鋭い棘があり、
成熟すると棘がなくなる傾向があります。
葉は深い緑色で、光沢があります。

秋になると、ヒイラギモクセイは小さな白い花を咲かせ、甘い香りを放ちます。この香りが特に人気の理由の一つです。
生垣として利用する場合、ヒイラギモクセイはその密度の高い葉と、刈り込みに強い性質のために適しています。
また、害虫に対する抵抗力が強く、丈夫な植物で日陰でも育ちます。ハムシにはかじられますので注意が必要です。

定期的な剪定によって形を整えることができ、生垣として美しい見た目を維持することが可能です。
冬の寒さにも比較的強いですが、極端に寒い地域では保護が必要になる場合もあります。

ヒイラギモクセイの生垣は、堅牢でプライバシーを守りやすく、美しい見た目と香りが楽しめるため、
住宅地や公共の場所でよく利用されます。

シラカシ生垣

シラカシ生垣
世田谷区 シラカシ生垣

シラカシの生垣。

シラカシは、日本を含むアジアの温暖な地域原産の常緑樹です。
葉は細長く、光沢があり、深い緑色をしています。
生垣としての利用では、シラカシはその密な枝葉により、優れた視界の遮蔽効果を持ちます。
また、成長が比較的早いため、短期間で充実した生垣を作ることが可能です。

刈り込みにも強く、形を整えやすいので、美しい生垣を維持することができます。
高垣にもできるため、高さが欲しい場合はオススメで、写真はシラカシですがアラカシも人気があります。
どちらもうどん粉病が出やすいので注意が必要です。

植栽の際には、日当たりが良く水はけの良い場所を選びますが、日陰でも育ちます。
乾燥にはある程度耐えますが、極端な乾燥や過湿は避けた方が良いです。
また、寒さにも比較的強いので、多くの地域で育てることができます。

シラカシの生垣は、その丈夫さと手入れのしやすさ、そして美しい緑色の葉で、住宅地や公園などで人気があります。
定期的な剪定によって、長期間にわたってその美しさを維持できます。

ウバメガシの生垣

練馬区・ウバメガシの生垣・強剪定後

ウバメガシの生垣。

ウバメガシは、日本原産の常緑樹で、生垣に適した植物です。葉は小さく厚みがあり、濃い緑色をしています。
この植物の特徴は、丈夫で長寿なことです。

生垣としての利用では、ウバメガシは密に生える葉が特徴で、プライバシー保護に優れています。
また、刈り込みに強く、定期的な剪定できれいな形を保つことができます。
成長速度は遅めですが、それがかえって手入れをしやすくしています。

植え付けには、日当たりの良い場所を選びますが、半日陰の場所でも育ちます。
土壌は特に選ばず、多くの環境に適応しますが、水はけの良い土を好みます。
乾燥にも強いですが、長期間の極端な乾燥は避けるべきです。

ウバメガシの生垣は、その耐久性と美しい緑色の葉で、日本の住宅地や公園などでよく利用されます。
手入れがしやすく、長期間にわたってその美しさを保つことができるため、生垣として非常に適しています。

サザンカの生垣

さいたま市・サザンカ生垣

サザンカ(山茶花)の生垣は、美しい花と光沢のある緑色の葉を特徴とする、目に鮮やかな景観を作り出す植物です。
サザンカは、日本原産の常緑低木で、晩秋から初冬にかけて、ピンク、赤、白などの色鮮やかな花を咲かせます。
この時期、生垣はまるで色とりどりの花で飾られた壁のようになり、見る人の目を楽しませます。

サザンカの生垣は、比較的低温にも耐えることができ、日本の多くの地域で育つことができます。
また、日当たりが良い場所を好むものの、半日陰の場所でも育つため、さまざまな環境に適応しやすいです。
このため、公園や庭園、道路沿いなどでよく見かけることができます。

生垣として利用する場合、サザンカは剪定にも強く、形を整えやすいという利点があります。
一般的に、花が咲き終わった後や春先に剪定を行うことで、植物の健康を維持しつつ、望む形状に保つことができます。
そのため、プライバシーの保護や境界線の明示、美観の向上などの目的で、家庭の庭や公共の場所に多く用いられます。

サザンカの生垣は、その美しさと実用性により、日本の風景に色と生命を与える重要な要素となっています。
しかし残念ながらサザンカにはチャドクガという強力な蛾の幼虫が付きます。
この毛虫に刺されると、とてもかゆくなり腫れたりもします。
そのため近年はあまり使われなくなりました。

ボックスウッドの生垣

ボックスウッド生垣・練馬区

ボックスウッドは、小さな葉を持つ常緑低木で、庭の生垣に広く用いられます。
この植物の葉は密集しており、光沢がある濃い緑色をしています。

生垣としてのボックスウッドの特徴は、その形を簡単に整えられることです。
非常に刈り込みに強く、様々な形に剪定することが可能です。
このため、正確な形の生垣や、装飾的なトピアリー(樹木や植物を特定の形に刈り込む技術)に適しています。

植え付けにおいては、日当たりが良い場所を好むものの、半日陰でも育ちます。
水はけの良い土壌が適しており、湿度が高すぎると根腐れを起こす可能性があるため注意が必要です。

ボックスウッドの生垣は、整った形状と美しい緑色で、庭を洗練された印象にします。
しかし虫がつきやすく、よく葉が食べられており、丸坊主にされることもあります。
管理をしっかりしていれば、手入れが比較的簡単で様々な庭のスタイルに適応します。

庭に植える樹木についてはこちらの記事をご参考ください

ソシンロウバイ

庭におすすめな茶花・花木

植木屋目線から、庭に植えているオススメな茶花や花木を紹介。
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水やりと肥料の管理

生垣は特に植栽後の初期には定期的な水やりが必要です。
土の表面が乾いたら水を与え、根がしっかりと確立するまで続けます。
肥料は主に冬に施し、植物の成長を促進します。

剪定と病害虫の管理

生垣の形を整え、健康を維持するためには、定期的な剪定が欠かせません。
剪定は春と秋が適切な時期です。
また、病害虫の発生を防ぐために、生垣の周囲を清潔に保ち、必要に応じて適切な薬剤を使用します。

植木の剪定については下記の記事をご覧ください。

ヒイラギモクセイ

植木の剪定の料金と効果 - あなたの庭を美しく保つための完全ガイド

自然が基本の植木の剪定
庭のたたずまいを崩さぬ美しい剪定
剪定料金のご案内

庭木の害虫については下記の記事を参考にしてください。

植木の害虫駆除

植木の害虫

植木屋が庭で見かける樹木の害虫を写真を交えて解説。
害虫防除の参考に!

多様性と生物多様性の促進

異なる種類の植物を混植することで、生垣は一年中魅力的に見せることもできます。また、多様な植物を使うことで、様々な野生生物にとっての生息地を作り、生物多様性を促進することができます。例えば、花を咲かせる植物は蝶やハチなどの受粉者を引き寄せ、生態系を豊かにします。さまざまな種類の植物を用いることで、四季折々の変化を楽しむことが可能にもなります。

生垣作りの総合的なまとめ

生垣作りは、適切な植物選定、配置計画、水やりと肥料の施し方、剪定と病害虫管理などの多くの側面を網羅する必要があります。これらのステップを丁寧に踏むことで、健康で美しい生垣を育てることができます。生垣を庭に取り入れることは、美観の向上だけでなく、目隠しによるプライバシー保護や騒音軽減、風の遮断といった実用的なメリットももたらします。また、生態系のバランスを保ち、野生生物に優しい環境を提供することができます。長期的には、生垣は地域の緑化に貢献し、生活環境の質を向上させる重要な役割を果たします。適切な管理により、長く楽しむことができる生垣は、庭を豊かに彩る貴重な資産となると思います。

庭つくりについてはこちらの記事を参考にしてください

自然風の庭

自然美を追求するプロの庭づくりと庭のリホームガイド

東京の街中にいながら山の中にいるような庭
を表現出来ればと思っております。
植栽、水鉢設置などお庭づくりのご案内

ご挨拶

庭師 草庵

庭師 草庵 代表

自然美を追求する庭づくり
心地のよい庭は気持ちが和やかになります。
庭師の仕事は心にある理想の庭を形にする事。
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植木の剪定や庭木の伐採、1本からの庭木の植栽や庭づくりなど
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