東京都世田谷区で、道路や隣家からの視線を自然に遮るため、天然の杉皮を使った杉皮垣を施工しました。
施工前、この場所には垣根がなく、外から庭へ視線が通る状態でした。
今回の目的は、単に外から見えなくすることだけではありません。
庭側から毎日眺めたときに、目隠しそのものが庭の背景として馴染むことも大切にしました。
目隠しを作る方法には、アルミフェンス、生垣、板塀、竹垣などさまざまなものがあります。
今回はその中から、杉の樹皮を使って面を作る杉皮垣を選びました。
竹とは違う柔らかな色と表情があり、庭木や石など自然素材のある庭では、目隠しを「壁」として見せるのではなく、庭の背景の一つとして見せることができます。

今回の杉皮垣の施工内容
施工場所: 東京都世田谷区
施工内容: 杉皮垣の新設
施工目的: 道路・隣家からの目隠し
使用材料: 天然の杉皮
垣根の種類: 杉皮垣
施工前: 垣根なし
仕上がり: 外からの視線を遮りながら、庭の背景を自然素材で整える
今回の施工で大切にしたのは、
「何かで隠した」ように見せすぎないことです。
必要な視線は遮りながら、庭側から見たときには杉皮の面が庭木を引き立てる背景になるように考えました。
施工前|垣根がなく外から視線が通る場所
施工前、この場所には垣根がありませんでした。
そのため道路や隣家側から庭へ視線が入りやすく、落ち着いて庭を楽しむためには目隠しが欲しい場所でした。
ただし、外からの視線だけを考えて大きな人工フェンスを設置すると、今度は庭側から毎日大きなフェンスを見ることになります。
目隠しは、外側から見られる時間よりも、そこに暮らす方が庭側から見る時間のほうがずっと長いものです。
そこで今回は、
外からどう隠すかと同時に、内側から何を見たいか
を考えました。
庭の背景として見たときに自然素材の表情を残せる杉皮垣を選んだのは、そのためです。
杉皮垣とは|杉の樹皮を使って作る自然素材の垣根
杉皮垣は、その名の通り杉の樹皮を使って作る垣根です。
竹を組んで作る建仁寺垣や御簾垣などの竹垣とは、使う材料も見たときの印象も異なります。
杉皮には、竹のような節や線とは違った、少し柔らかく不規則な表情があります。
一枚一枚が完全に同じではないため、工業製品のような均一さはありません。
しかし庭木も石も、それぞれ違う形をしています。
自然素材の庭では、この少し不揃いな表情が周囲に馴染みやすいことがあります。
杉皮垣は「和風だから使う」というより、庭の背景を自然素材で作りたいときに考えられる垣根の一つです。
なぜこの庭に杉皮垣を選んだのか
今回必要だったのは、道路や隣家からの視線をある程度しっかり遮ることでした。
四ツ目垣のように向こう側を大きく透かす垣根では、今回の目的には合いません。
一方で、目隠しの機能だけを考えて無機質な壁を作るのも、この庭には少し違うと感じました。
そこで、面として視線を遮りながら、庭側から見れば自然素材の背景になる杉皮垣を選びました。
杉皮そのものを主役にしたいわけではありません。
その手前にある庭木。
葉の形。
幹の色。
足元の石や下草。
そうしたものが杉皮の落ち着いた面を背景にしたとき、以前よりきれいに見える。
今回目指したのは、そんな仕上がりです。
「目隠し」と「庭の背景」は同じ場所にあります
目隠しの垣根を考えるとき、外側と内側では役割が違います。
道路側から見れば、
庭を隠すための垣根。
しかし庭側から見れば、
毎日目にする庭の背景。
同じ杉皮垣でも、見る方向によって意味が変わります。
私は、目隠しを作るときにこの内側からの見え方を大切にしています。
外から完全に見えなくすることだけに集中すると、高さや面積ばかりを大きくしがちです。
しかし庭側から見たときに圧迫感が出れば、庭そのものが小さく感じられることもあります。
必要な視線は遮る。
そのうえで庭木がきれいに見える高さや面を考える。
今回の世田谷区の杉皮垣でも、この二つを両立させることを意識しました。
杉皮の表情を揃えすぎない
杉皮は天然素材です。
一枚ずつ色合いや表面の表情が違います。
だからといって、違いをすべてなくして均一に見せようとする必要はないと思っています。
むしろ一枚一枚の杉皮を見ながら、全体として不自然にならないように合わせていく。
近くで見れば素材の違いがわかる。
少し離れて見れば一つの落ち着いた面に見える。
そうした見え方が杉皮垣の良さです。
天然竹の竹垣でも同じですが、自然素材は「完全に同じものを揃える」のではなく、違うもの同士をどう一つの景色にするかが仕上がりに関わってきます。
杉皮垣と竹垣はどう違う?
杉皮垣と竹垣の大きな違いは、まず素材です。
建仁寺垣、御簾垣、四ツ目垣などは主に竹を使います。
杉皮垣は杉の樹皮を面として使います。
そのため見え方も変わります。
竹垣は、竹の節や縦横の線、編み方などが垣根の表情になります。
杉皮垣では、杉皮の面そのものの色合いや質感が背景になります。
どちらが優れているというものではありません。
竹の線を庭の意匠として見せたいのか。
それとも、もう少し静かな面として庭木の背景にしたいのか。
庭によって選び方は変わります。
「竹垣を作りたいと思っていたけれど、杉皮垣のほうが庭に似合う」
ということもあります。
最初から垣根の名前を決めず、庭を見てから素材を考えるのも一つの方法です。
杉皮垣はどのような庭に向いている?
杉皮垣は、目隠しとしてある程度面を作りながら、自然素材を庭の背景として使いたい場所に向いています。
たとえば、
庭木の後ろに落ち着いた背景が欲しい場所。
道路や隣家からの視線を自然な素材で遮りたい場所。
無機質なフェンスを庭からあまり見せたくない場所。
竹の線よりも、静かな面として垣根を見せたい場所。
などです。
反対に、向こう側の景色を見せながら庭を仕切りたい場合には四ツ目垣などが向いています。
目隠しにも、庭の仕切りにも、それぞれ適した垣根があります。
何を作りたいかより、何のために作るのか。
そこから考えることが大切です。
杉皮垣は以前より珍しい垣根になっています
杉皮垣は、現在の一般住宅では以前ほど頻繁に見かける垣根ではありません。
材料となる杉皮も安価なものではなく、人工フェンスのように規格品を並べて終わる仕事とも違います。
そのため、すべての庭へおすすめするものではありません。
ただ、庭の中に自然素材の面が必要な場所では、今でも杉皮ならではの良さがあります。
珍しい垣根を作ること自体が目的なのではありません。
その庭に杉皮が似合う理由があるときに使う。
私は、そのくらいの考え方がよいと思っています。
施工後|目隠しが庭木を引き立てる背景になりました
杉皮垣を施工したことで、道路や隣家側から庭へ通っていた視線を遮ることができました。
ただ、この現場で見ていただきたいのは「見えなくなった」という部分だけではありません。
庭側から見ると、杉皮の落ち着いた面が庭木の後ろにできます。
背景が整うと、手前にある幹や枝葉の形が以前よりはっきり見えることがあります。
これは庭づくりでもよく感じることです。
庭木を増やせば庭が良くなるとは限りません。
逆に背景を一つ整えることで、今までそこにあった庭木がきれいに見える場合があります。
今回の杉皮垣は、まさにそのような役割を持たせています。
目隠しを一つ作ったというより、庭の後ろ側を整えた。
そんな仕上がりになればと思って施工しました。

垣根を作るなら、素材を最初から一つに決めなくても構いません
「庭に垣根を作りたい」と考えたとき、
竹垣。
生垣。
板塀。
人工フェンス。
杉皮垣。
など多くの選択肢があります。
それぞれ長所も短所もあり、一つがすべての庭に合うわけではありません。
管理のしやすさが最優先なら、人工素材がよい場合があります。
植物の変化を楽しみたいなら、生垣が合うこともあります。
竹の節や組み方を見せたいなら、天然竹の竹垣。
今回のように、目隠しをしながら庭木の後ろへ静かな自然素材の面を作りたいなら、杉皮垣という選択肢もあります。
庭師草庵では、最初に商品を決めて庭へ当てはめるのではなく、
その庭をどうしたいのかを見てから、必要な素材を考える
ようにしています。
世田谷区で垣根・竹垣・庭の目隠しをお考えの方へ
世田谷区をはじめ東京の住宅では、道路と庭が近かったり、隣家との距離が近かったりすることから、外からの視線が気になる場所も少なくありません。
しかし目隠しは、「とにかく見えなくすればよい」というものではないと思っています。
庭側から毎日見たときにどう感じるのか。
庭木を隠してしまわないか。
高すぎて圧迫感が出ないか。
建物の素材と合っているか。
そうしたことまで含めて考えることが大切です。
庭師草庵では、東京・練馬区を拠点に、世田谷区をはじめ杉並区、豊島区、武蔵野市など東京都内で、竹垣や天然素材を使った垣根、庭の目隠し施工を行っています。
「杉皮垣にしたい」と決まっていなくても構いません。
「道路から庭が見えるのを自然に隠したい」
「フェンスではなく庭に馴染む垣根を作りたい」
「植木屋に庭全体を見てもらいながら目隠しを考えたい」
という段階からご相談いただけます。
垣根だけを見るのではなく、庭木、建物、道路や隣家との位置関係を見ながら、その場所に合った形を考えます。
竹垣の種類や天然素材の垣根を詳しく知りたい方へ
庭師草庵では杉皮垣のほか、建仁寺垣、御簾垣、四ツ目垣、大津垣、木賊垣、袖垣などの施工も行っています。
竹垣の種類、目隠しに向いている竹垣、天然竹と人工竹の違い、寿命や施工費用については、竹垣の総合ページで詳しくご紹介しています。
杉皮垣も竹垣も、名前から選ぶ必要はありません。
何を隠したいのか。
何を残して見せたいのか。
庭側からどのような景色にしたいのか。
そこから考えると、その庭に合った垣根が見えてきます。
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